中華料理などで大活躍するチンゲン菜、シャキシャキして美味しいですよね。
でも、健康診断で「尿路結石に気をつけて」と言われたり、家族に結石持ちの方がいたりすると、青菜に含まれる「シュウ酸」のことが気になってしまいませんか?
「チンゲン菜もほうれん草と同じようにシュウ酸が多いのかな?」
「茹でこぼさないと危険なのかな?」
といった疑問や不安を持つ方も多いはずです。
実は私も、野菜不足を解消しようとチンゲン菜をよく食べるのですが、ふと「これって毎日食べても大丈夫なの?」と心配になったことがありました。
この記事では、チンゲン菜にはどれくらいのシュウ酸が含まれているのか、チンゲン菜のシュウ酸を減らす調理法について紹介しますね。
- チンゲン菜のシュウ酸含有量はほうれん草に比べてどうなのかが分かります
- 尿路結石のリスクを減らすための効果的な下処理方法を理解できます
- 電子レンジ調理と茹で調理でシュウ酸の減り方にどんな違いがあるか学べます
- シュウ酸の吸収を抑えるための食材の組み合わせや食べ合わせを知ることができます
チンゲン菜のシュウ酸含有量は多いのか

ここでは、皆さんが一番気にされている「チンゲン菜にはどれくらいのシュウ酸が含まれているのか」という点について、詳しく深掘りしていきます。
同じ青菜類でも種類によって含有量は大きく異なりますので、正しい知識を持って安心して食卓に取り入れたいですよね。
チンゲン菜はシュウ酸が少ない?
結論から言うと、チンゲン菜に含まれるシュウ酸の量は、野菜全体の中で見ると「決して少なくはないけれど、極端に多いわけでもない」という中間の位置づけにあると言われています。
もちろん、全く含まれていないわけではありません。
シュウ酸は植物が自分の身を守るために持っている成分なので、多くの葉物野菜には多少なりとも含まれているんです。
ただ、食べてすぐに口の中がキシキシするような強いアクを感じることは、チンゲン菜の場合あまりありませんよね?
あの独特の「えぐみ」こそがシュウ酸の正体の一つでもあるので、食べた時の感覚としても、そこまで強烈な量ではないことが想像できます。
私たちが普段スーパーで見かけるチンゲン菜は、アク抜きを必須とする野菜ほどの警戒心を持つ必要はありませんが、尿路結石を過去に患ったことがある方や、医師から注意を受けている方は、やはり「ゼロではない」という意識を持って、少しだけ食べ方に工夫をした方が安心かなと思います。
この後紹介する比較や調理法を参考に、上手付き合っていきましょう。
ほうれん草とシュウ酸量を比較

シュウ酸といえば、真っ先に名前が挙がるのが「ほうれん草」ですよね。
私自身も「ほうれん草は茹でこぼさないとダメ」と親から教わってきましたが、チンゲン菜はどうなのでしょうか。
実は、チンゲン菜のシュウ酸含有量は、ほうれん草に比べると圧倒的に少ないと言われています。
データによっては、ほうれん草の数分の一から十分の一程度とも言われることがあり、この差はかなり大きいです。
ほうれん草を生で食べると、舌がピリピリしたり、歯の裏がギシギシしたりする感覚がありますが、チンゲン菜ではそこまでの刺激を感じませんよね。
これは含有量の差が味や食感に現れている証拠でもあります。
ですので、「青菜=すべてシュウ酸が危険」とひとくくりにして怖がる必要はありません。
ただし、いくらほうれん草より少ないとはいえ、毎日大量に、しかも下処理なしで食べ続ければ、当然摂取量は積み重なってしまいます。
比較すれば安全ですが、「油断は禁物」くらいのスタンスでいるのが、健康維持にはちょうど良いバランスではないでしょうか。
生食でのシュウ酸摂取について

最近では、サラダ用として改良された品種や、新鮮なチンゲン菜を生のままサラダで食べるレシピも見かけるようになりました。
シャキシャキとした食感が楽しめて美味しいのですが、シュウ酸を気にする場合、生食はどうなのでしょうか。
シュウ酸は水溶性、つまり「水に溶け出す」性質を持っています。
逆に言えば、生で食べるということは、その野菜に含まれるシュウ酸を丸ごと摂取してしまうということになります。
健康な人がたまにサラダで食べる分には、体内で処理できる範囲内であることが多いので、そこまで神経質になる必要はないかもしれません。
しかし、結石のリスクを少しでも減らしたいと考えるなら、やはり生食は頻度を控えた方が無難です。
特に、スムージーなどで生のチンゲン菜を毎日大量に摂取する習慣は、知らず知らずのうちにシュウ酸の摂取量を増やしてしまう可能性があります。
健康のためにと始めた習慣が逆効果にならないよう、加熱調理を基本にするのがおすすめです。
尿路結石の原因になる可能性

「チンゲン菜を食べると尿路結石になるの?」という不安に対しては、「食べ方と量による」というのが正直なところです。
尿路結石の多くはシュウ酸カルシウム結石と呼ばれ、尿の中でシュウ酸とカルシウムが結合して石のようになってしまう病気です。
つまり、尿中のシュウ酸濃度が高くなるとリスクが上がります。
チンゲン菜単体が直接的な悪者というわけではありませんが、シュウ酸を含んでいる以上、調理法を工夫せずに大量に食べ続ければ、尿中のシュウ酸濃度を上げる要因の一つにはなり得ます。
特に、夏場で汗をかいて尿が濃くなっている時期や、水分摂取が少ないタイミングで、シュウ酸を多く含む食事を摂るとリスクが高まると言われています。
大切なのは「チンゲン菜を避けること」ではなく、「シュウ酸が体内に吸収されにくい食べ方をすること」です。
医師から厳密な食事制限を指導されている場合を除き、極端に禁止するのではなく、この後の章で紹介する調理の工夫を取り入れて、美味しく予防していきましょう。
小松菜など他野菜との違い

チンゲン菜と同じように使い勝手の良い青菜として「小松菜」がありますが、この二つの違いについても知っておくと便利です。
実は、小松菜は葉物野菜の中でも特にシュウ酸が少ない優秀な野菜として知られています。
シュウ酸の含有量だけでランキングをつけるなら、「ほうれん草 > チンゲン菜 > 小松菜」という順番になるイメージです。
| 野菜の種類 | シュウ酸の傾向 | 下処理の必要度 |
|---|---|---|
| ほうれん草 | 非常に多い | 必須(しっかり茹でる) |
| チンゲン菜 | 中程度 | さっと茹でると安心 |
| 小松菜 | 少ない | そのままでもOK |
こうして見ると、小松菜の使いやすさが際立ちますが、チンゲン菜には小松菜にはない肉厚な食感や、中華料理に合う風味がありますよね。
それぞれの特性を理解して、
「今日はしっかり茹でて使うからチンゲン菜」
「時間がないからレンジ調理でも安心な小松菜」
といった具合に使い分けるのが、賢い自炊のコツかなと思います。
チンゲン菜のシュウ酸を減らす調理法

ここからは、実際にキッチンで役立つ「シュウ酸を減らすための具体的なテクニック」をご紹介します。
ちょっとしたひと手間で、結石のリスクをぐっと下げることができるんですよ。
茹でることでシュウ酸は減る
シュウ酸対策の基本中の基本、それが「茹でる」ことです。
先ほどもお話しした通り、シュウ酸は水溶性なので、たっぷりのお湯で茹でることで、お湯の中に溶け出していきます。
これだけで、食材に含まれるシュウ酸の量を大幅に減らすことができるんです。
具体的な手順としては、沸騰したお湯で1〜2分程度さっと茹で、その後に冷水にさらす「茹でこぼし」が最も効果的です。
さらにポイントなのが、「切ってから茹でる」ということ。
丸ごと茹でるよりも、切り口の面積が増えるため、そこからシュウ酸が流れ出やすくなります。
私はいつも、炒め物に使う場合でも、面倒がらずに一度別のお鍋で下茹でするようにしています。
このひと手間で、アクも抜けて味も上品になりますし、何より安心して食べられるのが嬉しいですよね。
野菜炒めが水っぽくなるのを防ぐ効果もあるので、一石二鳥ですよ。
炒め物にする際の注意点

チンゲン菜といえば、豚肉や卵との炒め物が定番ですが、ここにも注意点があります。
生のままフライパンに入れて炒めると、水分が蒸発するだけで、シュウ酸が外に逃げ場を失ってしまいます。
つまり、シュウ酸がそのまま料理に残ってしまうのです。
「でも、下茹でするのは面倒…」という時もありますよね。
そんな時は、炒める前に「湯通し」だけでもするか、あるいは調理の最後に水分が出たら、その煮汁をしっかり切ってから盛り付けるだけでも違います。
また、炒め時間は短めにして、食感を残す程度に仕上げるのが一般的ですが、シュウ酸対策としては、やはり事前に下茹でしてから、最後に合わせる形にするのがベストです。
もし生から炒める場合は、食べる量を控えめにするか、この後紹介する「食べ合わせ」を意識してみてください。
カルシウムとの食べ合わせ効果
これが一番強力で、ぜひ覚えておいてほしいテクニックです。
それは「カルシウムを含む食材と一緒に食べる」こと。
実は、シュウ酸は腸の中でカルシウムと出会うと、そこで結合して「便」として体の外に排出されるという性質があります。
逆に、腸で結合しなかったシュウ酸が尿まで行ってしまうと、そこで結石になりやすくなるのです。
- チンゲン菜のクリーム煮(牛乳・乳製品)
- チンゲン菜と厚揚げの炒め物(豆腐・大豆製品)
- チンゲン菜とちりめんじゃこの和え物(小魚) ・仕上げに粉チーズを振る
つまり、口に入れる段階でカルシウムをセットにしておけば、体内で吸収されるのを防いでくれるというわけです。
これを知ってからは、私はチンゲン菜料理には必ずチリメンジャコをトッピングしたり、厚揚げを一緒に炒めたりするようにしています。
これなら、多少下処理が甘くてもリスクをカバーできるので、気持ち的にも楽になりますよね。
汁物に使う場合のポイント
スープや味噌汁にチンゲン菜を入れる場合も注意が必要です。
茹でることでシュウ酸が溶け出すと言いましたが、汁物の場合は「溶け出したシュウ酸がそのままスープの中に残っている」状態になります。
その汁を全部飲み干してしまうと、結局溶け出したシュウ酸も一緒に摂取してしまうことになるんです。
これを防ぐためには、やはり「別茹でしたチンゲン菜を、最後に汁に加える」という方法が一番です。
お味噌汁を作る時も、別鍋でサッと茹でて水気を絞ったものを、お椀によそう直前に入れると、色も鮮やかなままで見た目も良くなります。
もし、面倒で直接鍋に入れて煮てしまった場合は、汁を飲む量を半分にするなどの工夫をすると良いでしょう。
「美味しいスープにはアクも溶け出している」と意識するだけでも、対策になりますよ。
レンジ調理でのシュウ酸残存
時短調理の味方、電子レンジ。
チンゲン菜もラップに包んでチンすればすぐに火が通りますが、シュウ酸対策としてはあまりおすすめできません。
なぜなら、お湯で茹でるのと違って、シュウ酸が流れ出る先(茹で汁)がないため、ほとんどが野菜の中に留まってしまうからです。
「お湯を沸かすのが面倒だからレンジで」という気持ち、痛いほど分かります。
忙しい時は私もやってしまいがちです。
ですが、レンジ加熱した後に、一度冷水にしっかりとさらして水気を絞ることで、多少はシュウ酸を減らすことができます。
加熱後にそのまま和え物にするのではなく、「水にさらす」という工程をプラスしてください。
それでも、やはり茹でこぼしに比べると除去率は下がりますので、結石のリスクが高い方は、面倒でもお鍋を使うことをおすすめします。
チンゲン菜とシュウ酸のまとめ
ここまで、チンゲン菜とシュウ酸の関係についてお話ししてきました。
チンゲン菜はほうれん草ほど神経質になる必要はありませんが、シュウ酸が含まれていることは事実です。
でも、怖がって食べるのをやめてしまうのはもったいないですよね。
栄養価も高く、何より美味しい野菜ですから。
まとめ:美味しく食べる3つのルール
- できるだけ「茹でこぼし」をしてから使う
- カルシウム(乳製品、大豆製品、小魚)と一緒に食べる
- 毎日同じ野菜ばかり大量に食べ続けない
この3つを意識するだけで、リスクはぐっと下がります。
「今日は厚揚げと一緒に炒めよう」「スープに入れる時は別茹でしよう」といった、ほんの少しの心がけで、健康を守りながらチンゲン菜を楽しむことができます。
ぜひ今夜の献立から、無理のない範囲で試してみてくださいね。
美味しい食事で、体も心も健康に過ごしましょう!
