購入後にとうもろこしにカビを発見して困った経験はありませんか。
とうもろこしに生えるカビの種類には、白カビや黒カビ、赤カビなどがあり、見た目だけでは安全かどうか判断が難しいものです。
特に、とうもろこしの黒いカビや、粒が白くなっている状態は気になります。
また、皮だけにカビが生えている場合や、ヒゲ(髭)が茶色・黒くなっているだけなら大丈夫なのか、カビ部分を切り取れば食べられるのかという疑問も浮かびます。
さらに、とうもろこしのカビ毒「アフラトキシン」の危険性について耳にしたことがあるかもしれません。
万が一、カビたとうもろこしを食べてしまった場合の対処法も知っておきたいところです。
この記事では、とうもろこしにカビが生える原因から、正しい保存方法、そして新鮮なとうもろこしの選び方まで、あなたの疑問を解決します。
- とうもろこしに生えるカビの種類と危険性がわかる
- 食べられるカビと食べられないカビの見分け方がわかる
- カビの発生を防ぐ正しい保存方法がわかる
- 万が一カビたとうもろこしを食べてしまった時の対処法がわかる
とうもろこしのカビの見分け方と危険性

- とうもろこしに生えるカビの種類
- 見てわかる白カビや黒カビ、赤カビ
- 粒が白くなっている状態は危険?
- 皮だけにカビがある場合は食べられる?
- ゲ(髭)が茶色・黒くなっている原因
- 危険なとうもろこしのカビ毒「アフラトキシン」
とうもろこしに生えるカビの種類
とうもろこしに発生するカビは、一種類だけではありません。
環境や保存状況によって、さまざまな種類のカビが生える可能性があります。
代表的なものには、白カビ、黒カビ、赤カビ、青カビなどが挙げられます。
これらのカビは見た目の色が違うだけでなく、人体への影響度も異なります。
中には、非常に強い毒性を持つカビも存在するため、カビの種類を正しく理解しておくことが重要です。
カビは、見た目以上に内部深くまで菌糸を伸ばしていることが多く、表面の部分だけを取り除いても安全とは限りません。
特に、とうもろこしのように水分と栄養が豊富な食材は、カビにとって絶好の繁殖場所となります。
それぞれのカビの特徴について、より詳しく見ていきましょう。
見てわかる白カビや黒カビ、赤カビ

とうもろこしで見られるカビの色には、それぞれ特徴があります。
これらの違いを知ることで、危険性を判断する一つの目安になります。
白カビ
白カビは、とうもろこしの粒の表面やヒゲの部分に、綿毛のようにふわふわとした形状で発生することが多いです。
初期段階では見つけにくいこともありますが、放置すると広範囲に広がります。
一部の白カビは食品加工(チーズなど)に利用される無害なものもありますが、とうもろこしに自然発生した白カビが安全であるとは限りません。
他の有害なカビと同時に発生している可能性もあるため、注意が必要です。
黒カビ
黒カビは、粒の間や先端部分に黒いすすのような見た目で現れます。
非常に一般的なカビであり、アレルギーの原因となることもあります。
とうもろこしに生える黒カビの中には、カビ毒を産生する種類も存在するため、特に警戒が必要です。
見た目が悪いため食べるのをためらう方が多いと思いますが、実際に健康へのリスクも高いため、見つけたら食べないようにしてください。
赤カビ
赤カビ(ピンク色のカビを含む)は、粒の表面に発生することがあります。
この色のカビも、種類によっては人体に有害なカビ毒を作り出すことが知られています。
とうもろこしが赤っぽく変色している場合、それはカビが原因である可能性が高いでしょう。
カビの色のまとめ
カビの色 | 主な特徴 | 注意点 |
---|---|---|
白カビ | 綿毛状でふわふわしている | 無害とは限らず、他のカビと共存している可能性がある |
黒カビ | すす状で黒い斑点として見える | アレルギーの原因や、カビ毒を産生する可能性がある |
赤カビ | 赤色やピンク色に見える | 種類によっては有害なカビ毒を産生することがある |
粒が白くなっている状態は危険?

とうもろこしの粒が部分的に白くなっている場合、それは必ずしもカビが原因とは限りません。
成長過程での受粉不良や、乾燥によって水分が抜けてしまった状態である可能性も考えられます。
このような場合、味や食感は落ちてしまいますが、食べても健康上の問題はありません。
ただし、白く変色した部分が綿毛のようであったり、異臭がしたりする場合は、白カビが発生している可能性が高いです。
カビかどうか判断に迷う場合は、安全を最優先し、食べるのを避けるのが賢明な判断と言えるでしょう。
乾燥による変色とカビの見分けは難しいですよね。
少しでも「おかしいな?」と感じたら、無理に食べないようにしましょう!
皮だけにカビがある場合は食べられる?
とうもろこしの最も外側にある皮にだけカビが生えている場合、「皮を剥けば中身は安全なのでは?」と考えるかもしれません。
確かに、厚い皮が内部の実をカビから守っている可能性はあります。
しかし、カビは目に見えない菌糸を広範囲に伸ばす性質を持っています。
皮の表面にカビが見えるということは、すでに内部にも菌糸が侵入している可能性を否定できません。
また、皮を剥く際にカビの胞子が飛び散り、実の部分に付着してしまうリスクもあります。
見た目では判断できないリスクを避けるため、皮にカビが生えている場合は、残念ですが全体を廃棄することをおすすめします。
ヒゲ(髭)が茶色・黒くなっている原因

とうもろこしのヒゲ(絹糸)が茶色や黒色に変色しているのは、カビではなく、成熟のサインです。
ヒゲはもともと受粉のために存在しており、受粉が終わると役目を終えて枯れていきます。
そのため、収穫されたとうもろこしのヒゲが茶色いのは、ごく自然な状態です。
ただし、注意が必要なケースもあります。
ヒゲが湿ってぬめり気を帯びていたり、カビ特有の異臭がしたりする場合は、ヒゲの部分から腐敗が始まっている可能性があります。
このような場合は、先端部分の実の状態もよく確認し、異変があれば食べるのをやめましょう。
新鮮で美味しいとうもろこしは、ヒゲがふさふさとしていて、先端だけが茶色くなっているものが理想的です。
危険なとうもろこしのカビ毒「アフラトキシン」
とうもろこしに生えるカビの中で、最も注意すべきものの一つが「アフラトキシン」という強力なカビ毒です。
これは、特定の種類のアスペルギルス属のカビによって産生されます。
アフラトキシンは、人に対する発がん性が確認されている非常に危険な物質です。
都道府県労働局労働基準部長あて厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課長通知
熱に非常に強く、通常の加熱調理では分解されないため、もしカビ毒に汚染されてしまった場合、調理しても安全にはなりません。
日本では、食品衛生法に基づき、食品に含まれる総アフラトキシンの基準値が厳しく定められています。農林水産省:農林水産省が優先的にリスク管理を進めているかび毒
とうもろこしについても、15ppb以下という基準があります。食品安全関係情報詳細
国内で流通しているとうもろこしは、この基準に基づいて管理されているため過度に心配する必要はありませんが、家庭での保存状態が悪ければカビが生え、カビ毒が産生されるリスクはゼロではありません。
カビが生えたとうもろこしは絶対に食べないようにしましょう。
とうもろこしのカビへの対処法と予防策

- カビ部分を切り取れば食べられるのか
- カビたとうもろこしを食べてしまったら
- とうもろこしにカビが生える原因とは
- カビを防ぐための正しい保存方法
- 新鮮なとうもろこしの選び方
カビ部分を切り取れば食べられるのか
結論から言うと、カビが生えた部分だけを切り取って食べるのは非常に危険です。
カビは、目に見える部分(子実体)だけでなく、食品の内部に菌糸と呼ばれる根のようなものを深く張り巡らせています。
そのため、表面のカビを取り除いたとしても、食品の内部にはカビの菌糸や、カビが産生した有害なカビ毒が残っている可能性が非常に高いのです。
前述の通り、アフラトキシンのような強力なカビ毒は、加熱しても分解されません。
健康へのリスクを考えると、たとえカビの範囲が小さくても、とうもろこしにカビを発見した場合は、もったいないと感じても全体を廃棄することが最も安全な対処法です。
東京都保健医療局も、カビの生えたナッツ類などを食べないよう注意喚起しています。
東京都保健医療局
カビたとうもろこしを食べてしまったら

もし誤ってカビの生えたとうもろこしを少量食べてしまった場合でも、すぐに重篤な症状が出るとは限りません。
多くの場合は、健康な成人であれば特に症状が出ないか、軽い腹痛や下痢などの消化器症状で済むことが多いです。
しかし、食べた後に吐き気、嘔吐、激しい腹痛、下痢などの症状が現れたり、体調に異変を感じたりした場合は、速やかに医療機関を受診してください。
その際、「いつ、何を、どのくらい食べたか」を医師に正確に伝えることが重要です。
残っている食品があれば、診断の助けになる可能性があるので持参すると良いでしょう。
特に、免疫力が低下している方、高齢者、小さなお子さん、アレルギー体質の方は症状が出やすい可能性があるため、より一層の注意が必要です。
少しでも不安な場合は、自己判断せずに必ず専門医に相談してくださいね。
とうもろこしにカビが生える原因とは
とうもろこしにカビが生える主な原因は、「温度」「湿度」「栄養分」の3つの条件が揃うことです。
カビは、特に高温多湿の環境を好んで繁殖します。
温度
カビの多くは、20℃〜30℃の温度帯で最も活発に活動します。
日本の夏は、まさにカビが繁殖しやすい温度条件にあります。
常温で放置されたとうもろこしは、カビにとって非常に快適な環境となってしまいます。
湿度
カビの繁殖には水分が不可欠です。
湿度が60%を超えると活動を始め、80%以上になると一気に繁殖します。
とうもろこしは元々水分を多く含んでいる食材であり、特に茹でた後はさらに湿度が高くなります。
また、ビニール袋などに入れて密閉すると、内部の湿度が上がりカビの原因となります。
栄養分
とうもろこしに含まれる豊富な糖質やタンパク質は、カビにとって格好の栄養源です。
これらの条件が揃うことで、カビは急速に増殖してしまうのです。
カビを防ぐための正しい保存方法

とうもろこしをカビから守るためには、カビが好む環境を作らないことが最も重要です。
購入後はできるだけ早く、適切な方法で保存しましょう。
冷蔵保存の場合
生のとうもろこしを保存する際は、皮をつけたまま1本ずつラップで包み、冷蔵庫の野菜室に立てて保存するのが基本です。
皮が水分の蒸発を防ぎ、鮮度を保ってくれます。この方法で、2〜3日程度は美味しく保存できます。
もし茹でてから保存する場合は、固めに茹でてから熱を冷まし、同じくラップに包んで冷蔵庫へ入れましょう。
ただし、生のまま保存するよりも日持ちしないため、早めに食べきることをおすすめします。
冷凍保存の場合
長期間保存したい場合は、冷凍が最も適しています。生のままでも、茹でてからでも冷凍可能です。
- 生で冷凍:皮とヒゲを取り除き、使いやすい大きさにカットしてラップで包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍します。
- 茹でて冷凍:固めに茹でてから水気をよく拭き取り、実を外してほぐすか、ラップで包んで冷凍用保存袋に入れて冷凍します。
冷凍保存であれば、約1ヶ月程度は品質を保つことができます。
保存のポイント:いずれの保存方法でも、とうもろこしから出る水分がカビの原因になるため、水気をしっかりと切ること、そして密閉しすぎないことが大切です。
新鮮なとうもろこしの選び方

カビを防ぐためには、購入する段階で新鮮なとうもろこしを選ぶことも非常に重要です。
新鮮で状態の良いものほど、長く良い品質を保つことができます。
新鮮なとうもろこしを見分けるチェックリスト
- ✅ 皮の色が鮮やかな緑色をしているか:皮が黄色っぽくなっていたり、枯れていたりするものは鮮度が落ちています。
- ✅ ヒゲがふさふさとしていて、みずみずしいか:ヒゲが乾燥しきっていたり、黒く変色しすぎているものは避けましょう。先端が茶色いのは完熟の証です。
- ✅ 持った時にずっしりと重みがあるか:重みがあるものは、実がぎっしりと詰まり、水分を豊富に含んでいる証拠です。
- ✅ 実が隙間なく並び、ハリとツヤがあるか:皮を少しめくって確認できる場合は、粒の揃い具合をチェックしましょう。指で軽く押してみて、へこむものは鮮度が落ちています。
これらのポイントを押さえて、できるだけ収穫から時間の経っていない、新鮮なとうもろこしを選びましょう。
これで安心、とうもろこしのカビ対策
この記事のポイントをまとめます。
- とうもろこしに生えるカビには白や黒、赤などがある
- カビの中には発がん性のあるアフラトキシンを産生するものもある
- カビ毒は加熱しても分解されないため非常に危険
- カビは目に見えない菌糸を内部に伸ばしている
- カビが生えた部分だけを切り取って食べるのは絶対にやめる
- 皮やヒゲだけにカビがある場合も全体を廃棄するのが安全
- ヒゲが茶色いのは熟しているサインでカビではないことが多い
- カビたものを食べて体調不良になったらすぐに医療機関へ
- カビの原因は温度・湿度・栄養分が揃うこと
- 購入後はすぐに冷蔵または冷凍保存する
- 冷蔵保存は皮付きのままラップに包み野菜室へ
- 長期保存したい場合は冷凍が最も効果的
- 購入時に新鮮なとうもろこしを選ぶことが第一歩
- 皮が鮮やかな緑色でヒゲがみずみずしいものを選ぶ
- 少しでも見た目や臭いに異変を感じたら食べない勇気を持つ