購入した里芋の皮をむいたら、中が緑色になっていて不安に感じた経験はありませんか。
里芋が緑色になっていると、じゃがいもが緑色になる現象や、さつまいもが緑色になるケースを思い出し、不安になるかもしれません。
特に、里芋の緑色の部分に毒があるのか、緑の芽は危険ではないか、じゃがいもで有名なソラニンは含まれていないのか、と心配になる方も多いでしょう。
また、里芋が茹でたら緑色になったり、青いや赤い部分が見られたりすると、どう扱えばよいか迷います。
この記事では、里芋の変色に関する疑問を解消し、安全な食べ方や簡単な里芋レシピについても紹介します。
- 里芋が緑色になる主な原因
- じゃがいもの毒素「ソラニン」との違い
- 緑色以外の変色(青い・赤い)の理由
- 安全な食べ方と下ごしらえのコツ
里芋が緑色になる原因と毒性

- 里芋の緑色部分に毒はある?
- 緑の芽が出た場合の注意点
- ソラニンは含まれているのか
- 緑色の里芋に危険はある?
- 里芋が青いのはなぜ?
里芋の緑色部分に毒はある?
結論から言いますと、里芋の緑色の部分に毒はありません。
そのため、基本的には食べても問題ないとされています。
この緑色の正体は、植物に含まれる「クロロフィル(葉緑素)」です。
里芋が土から出てしまい、日光に当たることで光合成が行われ、皮や実の表面に近い部分が緑色に変色することがあります。
スーパーなど市販の里芋はあまりありませんが、袋詰めで売られている里芋でも、店内の照明に長時間当たることで緑色になるケースも見られます。
じゃがいもの緑色とは違います
緑色の野菜と聞いて多くの人が心配するのが、じゃがいもの芽や緑色の皮に含まれる天然毒素です。
しかし、里芋の緑色はじゃがいもの緑色(ソラニン)とは全く別物ですので、安心してください。
ただ、緑色になっている部分は、日光に当たって育った影響で、他の白い部分と比べて少し硬くなっている可能性があります。
食感を良くするため、皮をむく際に緑色の部分も一緒に、少し厚めに取り除いてから調理するのがおすすめです。
緑の芽が出た場合の注意点

里芋から緑の芽が出てきた場合も、じゃがいもの芽とは異なり、毒はありません。
そのため、芽が出た里芋も食べることは可能です。
ただし、芽が出ている状態は、里芋が成長しようと栄養を使っているサインです。
芽に栄養が取られているため、芋本体の風味や食感が落ちている可能性があります。
また、芽が大きく成長している場合、芋本体が柔らかくなっていたり、傷み始めているサインであったりすることも考えられます。
もし芽が出ている里芋を食べる場合は、芽の部分は硬いため取り除き、芋本体の状態(異臭、過度な柔らかさ、ぬめりの異常など)をよく確認してから使用してください。
ソラニンは含まれているのか

里芋の変色で最も心配されるのが「ソラニン」の存在ですが、里芋にはソラニンは含まれていません。
ソラニンやチャコニンは、主にナス科の植物(じゃがいも、トマトの未熟な実など)に含まれる天然毒素(アルカロイド)です。
里芋はサトイモ科の植物であり、含まれる成分が異なります。
じゃがいもの場合は、光に当たることで緑色の皮の部分にソラニンやチャコニンが生成されます。これらは加熱しても分解されにくいため、食中毒の原因となります。
じゃがいもの緑変には要注意
前述の通り、里芋の緑色は問題ありませんが、じゃがいもが緑色になっている場合や芽が出ている場合は注意が必要です。
これらの部分には天然毒素が多く含まれるため、皮を厚くむき、芽は根元から完全に取り除く必要があります。(参照:農林水産省「じゃがいもに含まれる天然毒素「ソラニン」や「チャコニン」に関するQ&A」)
緑色の里芋に危険はある?

緑色の里芋にソラニンのような毒性による危険はありませんが、里芋特有の「えぐみ」には注意が必要です。
里芋のえぐみの原因は、針状の結晶である「シュウ酸カルシウム」です。
これが皮膚や粘膜を刺激し、かゆみやピリピリとした痛みを引き起こします。
緑色の部分が特にえぐみが強いということはありませんが、里芋全体に含まれている成分です。
シュウ酸カルシウムは水に溶けにくいため、下ごしらえ(下茹でや塩もみ)を丁寧に行うことで、えぐみを取り除き、おいしく食べられます。
緑色の里芋を食べる際の危険性をあえて挙げるとすれば、それは「緑色であること」ではなく、「鮮度が落ちている」または「腐敗している」可能性です。
食べる前のチェックポイント
- 臭い: 酸っぱい臭いや、カビ臭いなど、普段と違う異臭がしないか。
- 感触: ぬめりが異常に強い、または逆に乾燥しすぎている。
- 柔らかさ: ぶよぶよと柔らかくなっている部分は腐敗している可能性が高いです。
これらに該当する場合は、緑色かどうかに関わらず食べるのを避けてください。
里芋が青いのはなぜ?

里芋が部分的に青い場合も、緑色の場合と同様の理由が考えられます。
主な原因は、緑色と同じくクロロフィル(葉緑素)です。
光の当たり方や色素の濃さによって、青っぽく見えることがあります。
この場合も、毒性はありません。
もう一つの可能性として、里芋に含まれるポリフェノール類が、切ったり傷ついたりすることで空気に触れ、酸化して青っぽく変色することがあります。
これはリンゴやゴボウが変色するのと同じ現象で、品質に問題はありません。
いずれにしても、青い部分も食べても大丈夫ですが、緑色の部分と同様に硬くなっていることがあるため、調理の際は少し厚めに皮をむくと良いでしょう。
里芋の緑色以外の変色と対処法

- 里芋が茹でたら緑色になる原因
- 里芋が赤い場合の対処法
- じゃがいもが緑色になる現象
- さつまいもが緑色になる理由
- 緑色部分を除く里芋レシピ
里芋が茹でたら緑色になる原因
皮をむいた時は白かったのに、里芋を茹でたら緑色や青緑色に変色することがあります。
これも食べても問題ありません。
この現象は、里芋のアクの成分である「ホモゲンチジン酸」が関係していると言われています。
この成分が、水道水に含まれる微量のアルカリ成分や、調理に使用した鉄鍋の鉄分などと化学反応を起こして緑色(または青緑色)に発色するものです。
重曹(アルカリ性)を使ってアク抜きをした場合にも、同様の反応が起こりやすくなります。
見た目は驚くかもしれませんが、体に害のある物質が生成されたわけではないため、そのまま食べられます。
茹で汁が緑色になるとびっくりしますよね。
これは里芋の成分と水や鍋の相性による化学反応の一種です。
味や安全性には影響がないとされています。
里芋が赤い場合の対処法

里芋を切った断面や、皮をむいた表面が赤い場合、いくつかの原因が考えられます。
1. 品種によるもの
「赤芽芋(あかめいも)」や「セレベス」と呼ばれる品種は、芽や茎の付け根が元々赤い色をしています。
この色素(アントシアニン系)が芋本体に少し入っている場合があり、これは品種の特性なので全く問題なく食べられます。
2. 酸化によるもの
里芋に含まれるポリフェノール類が、空気に触れて酸化し、赤っぽく(あるいはピンクっぽく)変色することがあります。
これも品質には問題ありません。
3. 傷みや病気の可能性
注意が必要なのは、部分的に赤褐色や茶色に変色し、同時に異臭がしたり、ぬめりがなくパサパサしていたりする場合です。
これは「乾腐病(かんぷびょう)」などの病気や、低温障害によって傷んでいる可能性があります。
この場合は、赤い部分だけでなく、その周囲も大きく取り除き、もし全体に広がっているようであれば食べるのを避けてください。
赤い変色が斑点状であったり、柔らかくなっていたりする場合は、傷んでいるサインかもしれません。
鮮度の良い里芋は、全体がふっくらとしており、カットした断面はきめ細かく真っ白です。
じゃがいもが緑色になる現象

ここで改めて、里芋との比較のためにじゃがいもが緑色になる現象について解説します。
前述の通り、じゃがいもは光に当たると緑色に変色します。(参照:農林水産省「じゃがいもに含まれる天然毒素「ソラニン」や「チャコニン」に関するQ&A」)
これは里芋と同じクロロフィルが生成されるためですが、じゃがいもの場合、同時に天然毒素であるソラニンやチャコニンも皮の部分で生成されます。
ソラニンやチャコニンは、一定量以上を摂取すると、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、頭痛、めまいなどの中毒症状を引き起こす可能性があります。
特に家庭菜園などで未熟な状態で収穫したものや、光が当たる場所で長期間保存したものは注意が必要です。
もしじゃがいもが緑色になっていたら、その部分は必ず厚く皮をむき、緑色の部分を完全に取り除いてください。
芽が出ている場合も、芽の根元(有毒成分が集まりやすい)ごとしっかりえぐり取ることが重要です。
さつまいもが緑色になる理由

さつまいもが緑色(あるいは黒っぽく)変色することもありますが、これも里芋やじゃがいもとは原因が異なります。
さつまいもを切った時に切り口から出る白い液体は「ヤラピン」という成分です。
このヤラピンが空気に触れて酸化したり、アクの成分(クロロゲン酸など)がアルカリ性の条件下で反応したりすると、緑色や黒っぽく変色することがあります。
これも体に害はなく、食べても問題ありません。
変色を防ぎたい場合は、切ったさつまいもをすぐに水にさらす(アク抜きする)と良いでしょう。
芋の変色比較表
芋の種類によって、緑色になる原因と安全性は異なります。
芋の種類 | 緑色の原因 | 毒性(ソラニン) | 対処法 |
---|---|---|---|
里芋 | クロロフィル(光合成) | なし | 食べられる(硬い場合は厚めにむく) |
じゃがいも | クロロフィル + ソラニン | あり(危険) | 緑色部分と芽を完全に取り除く |
さつまいも | ヤラピンやアクの酸化・反応 | なし | 食べられる(水にさらすと変色予防) |
緑色部分を除く里芋レシピ

緑色の部分を厚めにむいた里芋は、通常の里芋とまったく同じように調理できます。
里芋はアクが強いため、下ごしらえを丁寧に行うのがおいしく仕上げるコツです。
里芋の基本的な下ごしらえ(アク抜き)
- 里芋の土を洗い落とし、皮をむきます。(緑色部分は厚めに)
- 食べやすい大きさに切った里芋をボウルに入れ、塩をふってよく揉み込みます。
- 里芋からぬめりが出てきたら、水で洗い流します。
- 鍋に里芋とたっぷりの水(または米のとぎ汁)を入れ、火にかけます。
- 沸騰したら2〜3分ほど下茹でし、ザルにあけて水で軽く洗い流します。
おすすめの里芋レシピ
下ごしらえが終わった里芋は、様々な料理に活用できます。
- 里芋の煮っころがし: 甘辛い味付けでじっくり煮込む、定番の和食です。
- 豚汁: 豚肉や根菜との相性が抜群。里芋のねっとりとした食感が汁に溶け込みます。
- 衣かつぎ(きぬかつぎ): 皮ごと蒸したり茹でたりして、皮をむきながら塩や味噌で食べるシンプルな料理です。(※この場合、緑色の里芋は避けた方が無難です)
- 唐揚げやアヒージョ: 下茹でした里芋を揚げる・煮ることで、外はカリッと、中はねっとりとした食感を楽しめます。
里芋が緑色でも大丈夫?毒性や変色の原因、見分け方を紹介を総括
最後に、里芋が緑色だった場合の判断基準と対処法について、要点をまとめます。
- 里芋が緑色になる原因は光合成によるクロロフィル
- じゃがいもの緑色とは異なりソラニンなどの毒はない
- 里芋の緑色の部分も基本的には食べられる
- 緑色の部分は硬いことがあるため厚めにむくのがおすすめ
- 里芋の芽にも毒はないが風味は落ちている可能性がある
- 里芋が青い場合もクロロフィルや酸化が原因で無害
- 里芋が茹でたら緑色になるのはアクと水質・鍋の反応
- 里芋が赤い場合は品種特性か酸化が主で問題ない
- ただし赤い変色が斑点状で異臭がある場合は腐敗のサイン
- 里芋の危険は緑色ではなく腐敗による異臭や柔らかさ
- じゃがいもが緑色の場合はソラニンが含まれるため危険
- じゃがいもの緑色部分や芽は必ず完全に取り除く
- さつまいもが緑色になるのはヤラピンやアクの反応で無害
- 里芋のえぐみ成分はシュウ酸カルシウム
- アク抜き(塩もみ・下茹で)でえぐみは取り除ける
- 緑色部分を取り除いた里芋は通常のレシピで調理可能