認知症介助士は役に立たないといった言葉が検索していると目に入ります。
この資格を取得しても給料が上がらないのではないか、あるいは履歴書に書いても意味がないのではないかと不安を感じている方もいるのではないでしょうか。
せっかく時間とお金をかけて学ぶなら、しっかりと実益につながる資格を選びたいと思うのは当然のことです。ネット上には厳しい意見もありますが、その背景にある理由や、実はあまり知られていない活用メリットについて、私と一緒に詳しく見ていきましょう。
- 役に立たないと言われる給料面での構造的な理由
- よく似た名前の認知症ケア専門士との決定的な違い
- 未経験からの就職やサービス業で評価されるポイント
- コストを抑えて合格するための効率的な学習アプローチ
認知症介助士は役に立たないと言われる理由

まずは、なぜこの資格に対してネガティブな意見が見られるのか、その背景を整理してみましょう。
実際に調べてみると、単なる批判だけでなく、介護業界特有の事情が見えてきました。
給料アップにつながらず意味ないという声
正直なところ、この資格を取得したからといって、すぐに給料が上がるかというと、現実はなかなか厳しいようです。
これは、介護業界の給与体系が「介護報酬」という国の制度に大きく依存していることが関係しています。
通常、介護職員の給与がアップするのは「介護福祉士」などの国家資格を持っている場合や、「処遇改善加算」の対象となる要件を満たしている場合がほとんどです。
残念ながら、認知症介助士は民間資格であるため、国からの報酬加算の対象にはなっていません。
そのため、施設側としても「資格手当」として給与に還元する原資を確保しにくいという事情があります。
「せっかく取ったのに手当がつかない」という現職の方の実感が、「役に立たない」という言葉につながっているのかもしれません。
ただ、これは資格の内容が悪いわけではなく、あくまで制度上の仕組みの問題だと言えます。
※給与手当の有無は施設の方針によって異なります。
一部の理解ある法人では、独自の資格手当を設けている場合もあるので、就業規則を確認してみるのがおすすめです。
公式サイト⇒認知症介助士公式サイト
| 楽天市場:ユーキャンの認知症介助士講座 |
認知症ケア専門士との違いによる混同

調べていて気づいたのですが、名前がよく似ている「認知症ケア専門士」という別の資格と混同されていることも、評価が分かれる原因の一つのようです。
認知症ケア専門士は、3年以上の実務経験が必要で、試験も筆記だけでなく論述や面接まである、かなり難易度の高い「現場のリーダー向け」の資格です。
一方で、私たちが注目している認知症介助士は、誰でも受験できる入門編のような位置づけです。
現場のベテラン職員さんたちが、難関資格であるケア専門士のレベルを基準に考えてしまうと、「介助士は簡単すぎて専門性が低い」と感じてしまうことがあるようです。
この「期待値のズレ」が、一部で厳しい評価につながっている要因なんですね。
ターゲットとしている層がそもそも違うということを理解しておく必要があります。
試験の難易度が低く誰でも受かる実情

「誰でも受かる資格なんて意味がない」という意見もチラホラ見かけます。
確かに、認知症介助士の試験は受験資格に制限がなく、合格率も9割以上と言われています。
テキストを読んで常識的な判断ができれば合格できるレベル、と評されることもあります。
しかし、難易度が低いことが必ずしも「価値がない」ことには直結しないと私は思います。
むしろ、「誰でもアクセスできる知識」であることに意味があるのではないでしょうか。
この資格は、高い専門性を証明するためのものではなく、認知症の方への基本的な接し方や、共感的な態度(マインド)を身につけるための「入り口」として設計されています。
難易度の低さを「参入障壁の低さ」とポジティブに捉えれば、これから介護を学びたい人にとっては大きなメリットになります。
独占業務がなく現場で使えないという誤解

医師や看護師のように「この資格がないとできない仕事」というものが存在しないのも、役に立たないと言われる理由の一つです。
いわゆる「業務独占資格」でもなければ、介護施設に必ず一人置かなければならない「必置資格」でもありません。
そのため、現場でバリバリ働いている人からすると、「資格があってもなくてもやることは変わらない」と感じてしまう場面があるのかもしれません。
しかし、独占業務がないからといって、学んだ知識が無駄になるわけではありませんよね。
例えば、認知症の方がなぜ怒っているのか、その背景にある心理を理解できれば、現場でのトラブルを未然に防ぐことができます。
「法的な権限」はありませんが、「対応の引き出し」は確実に増えるはずです。
この部分は横にスクロールできます。
| 項目 | 認知症介助士 | 認知症ケア専門士 |
|---|---|---|
| 受験資格 | 誰でも受験可能 | 実務経験3年以上 |
| 難易度 | 易しい(入門向け) | 高い(リーダー向け) |
| 主な目的 | 基本的な理解とマインド | 高度なケア技術と指導 |
ネット上の悪い評判や口コミの真偽

インターネットで検索すると、どうしてもネガティブな言葉が目立ちますが、これには心理的なバイアスもかかっていると思います。
人間は、満足している時よりも不満がある時の方が、口コミを書き込みたくなる生き物だからです。
「3,000円払ったのに給料が上がらなかった!」という不満は書き込まれやすいですが、「おばあちゃん、おじいちゃんの気持ちがわかって接し方が楽になった」という日々の小さな変化は、わざわざネットに書かれないことも多いですよね。
私が色々な意見を見てきた限りでは、悪い評判の多くは「金銭的なリターン」を期待しすぎた場合に発生しています。
逆に、「知識の習得」や「自信をつけること」を目的にした人からは、肯定的な意見も多く見られます。
情報の取捨選択には気をつけたいですね。
認知症介助士が役に立たない説を覆す活用術

ここまでネガティブな理由を見てきましたが、ここからは視点を変えて、「じゃあどう使えば役に立つのか?」というポジティブな側面を深掘りしていきましょう。
私自身、資格は「持っているだけ」では紙切れですが、「使い方」次第で強力な武器になると考えています。
履歴書への正式名称の書き方とアピール
就職や転職活動で使う場合、履歴書の資格欄には必ず正式名称で書きましょう。
「認知症介助士」とだけ書くよりも、「公益財団法人日本ケアフィット共育機構認定 認知症介助士」と記載した方が、丁寧な印象を与えます。
そして、最も重要なのは「志望動機」や「自己PR」との組み合わせです。
単に資格名を並べるだけでなく、「なぜこの資格を取ったのか」というストーリーを添えることが重要です。
例えば、「未経験ですが、少しでも早く利用者様の気持ちに寄り添いたいと思い、入職前にこの資格を取得しました」と伝えれば、採用担当者には「自ら学ぶ意欲のある人だ」というポジティブな評価として伝わります。
資格そのものの権威性よりも、取得に至る「行動力」をアピール材料にするのがコツです。
介護未経験者が就職で有利になるメリット

実はこの資格、現役の介護職の方よりも、これから業界に入ろうとしている「未経験者」にこそ、大きなメリットがあるんです。
採用する側からすると、未経験者の採用には「すぐに辞めてしまわないか」「認知症の方への対応にショックを受けないか」という不安がつきまといます。
そこで事前に認知症介助士の勉強をしていると、「認知症という病気や、特有の行動についてある程度の予備知識がある」という証明になります。
これは、いわゆる「リアリティ・ショック」を和らげる効果も期待できるため、採用リスクを下げる要素として評価されやすいのです。
また、他の国家資格は取得に時間がかかりますが、この資格なら短期間で取得できるため、面接までの準備期間に「やる気の可視化」として装備するには最適だと言えます。
ポイント: 未経験者にとっては「何も知らない」状態から脱却し、採用担当者に安心感を与えるための「パスポート」のような役割を果たしてくれます。
サービス業や家族介護で仕事に活かす
意外と知られていないのが、介護業界「以外」での活用法です。
最近では、鉄道会社や百貨店、ホテル、銀行などの大手企業が、この資格を社員教育に取り入れているケースが増えています。
超高齢社会の今、どのような業種であっても高齢のお客様と接する機会は避けられません。
例えば、窓口で何度も同じことを聞かれる、あるいは道に迷っている高齢のお客様に対して、適切な声かけができるかどうかは、企業のサービス品質やリスク管理に直結します。
「認知症介助士の資格を持っています」といえば、サービス業への就職活動でも「ホスピタリティの高さ」や「対応力」をアピールする強力な材料になります。
また、仕事だけでなく、自分自身の家族の介護に直面した際にも、知識があることで精神的な余裕が生まれるという、プライベートなメリットも非常に大きいです。
公式テキストや過去問を用いた独学勉強法
「資格を取りたいけど、スクールに通う時間はない」という方でも大丈夫です。
この資格は、基本的に公式テキストを使った独学で十分に合格を目指せます。
公式テキストは2,000円〜3,000円程度で購入でき、図解も多くて非常に読みやすいのが特徴です。
勉強のコツとしては、暗記するというよりも「読み物として理解する」スタンスが良いでしょう。
「認知症の人はなぜそのような行動をとるのか」という背景や心理描写が多く書かれているので、小説やエッセイを読むような感覚で学習が進められます。
検定試験はCBT方式(パソコンで受験)で、問題数も30問とコンパクトです。
過去問そのものは非公開のことが多いですが、テキストの内容をしっかり理解していれば解ける問題ばかりなので、過度な心配はいりません。
節約テクニック
学習が終わった後のテキストは、フリマアプリなどで需要があります。
綺麗に使って次に必要な人に譲れば、実質的な学習コストをさらに下げることも可能です。
受験費用と合格率から見るコスパの良さ
資格取得において「コストパフォーマンス」は大事な視点ですよね。
認知症介助士の検定料は3,300円(税込)と、他の民間資格に比べてもかなりリーズナブルな設定になっています。
公式テキスト代と合わせても、6,000円程度で取得可能です。
数万円もかかる講座を受講しなければならない資格も多い中で、この手軽さは大きな魅力です。
しかも合格率は非常に高く、しっかりとテキストを読めばほとんどの人が合格できます。
「低リスク・低コスト」で履歴書に書ける行が一つ増えると考えれば、コスパは決して悪くありません。
もし自分に合わないと思っても、金銭的なダメージが少ないので、まずは「試しに取ってみる」という軽いフットワークで挑戦できるのも嬉しいポイントかなと思います。
認知症介助士は役に立たないどころか有益
ここまで見てきた通り、認知症介助士 役に立たないという言葉は、あくまで「給料への即効性」のみを切り取った評価に過ぎません。
確かに、この資格だけで明日から年収が跳ね上がることはありませんが、未経験からのキャリアスタートや、サービス業での差別化、そして何より「認知症の方への優しさ」を育むためのツールとして、非常に高い価値を持っています。
資格は「ゴール」ではなく「スタート」です。
この資格をきっかけに、より深い認知症ケアの世界に興味を持ったり、自分自身の対応に自信を持てるようになったりすることこそが、本当の意味での「役に立つ」ということではないでしょうか。
迷っているなら、まずはテキストを手に取ってみることから始めてみてはいかがでしょうか。

