キャンプや登山を楽しんでいるとき、ふと「あれ、どっちが北だっけ?」と不安になった経験はありませんか?
あるいは、災害時や道に迷ったときなど、手元にコンパスないときでも方角さえ分かれば安心できるシーンは意外と多いものです。
スマホのアプリも便利ですが、バッテリー切れや電波が入らない状況では頼りになりません。
そこで今回は、アナログ時計や太陽、星空など、身近なものを使って正確な方角を調べるサバイバル術をご紹介します。
いざという時のために、頭の片隅に入れておくだけで役立つ知識ですよ。
- アナログ時計と太陽の位置関係から南の方角を割り出す方法
- 夜空の星や星座の並びを見て正確な北を見つけるテクニック
- 地面に棒を立てて影の動きを観察し東西南北を知る手順
- コンパスやスマホが使えない状況で役立つ身近な目印
アナログ時計と太陽の位置を利用して方角を調べる

まずは、最もポピュラーで道具も少なくて済む「アナログ時計」を使った方法をご紹介します。
日中であれば、太陽の位置と時計の短針(時針)を見るだけで、おおよその「南」を知ることができるんです。
デジタル時計しか持っていない場合でも、紙に時計の絵を描くことで応用できますので、ぜひ覚えておいてくださいね。
短針を太陽に向けて南を割り出す基本の手順
これは登山やアウトドアの教本でも必ずと言っていいほど紹介されている、非常に有名なテクニックです。
手順はとてもシンプルで、アナログ時計を水平に持ち、短針(短い方の針)を太陽の方向に向けます。
このとき、「短針」と文字盤の「12時」のちょうど中間(真ん中の角度)が「南」の方角になります。
ただし、これは北半球にいる場合の話ですので注意してくださいね。
例えば、今の時間が朝の10時だとしましょう。
短針を太陽に向けたとき、文字盤の12時は太陽より左側にありますよね。
この10時(太陽の方向)と12時のちょうど真ん中、つまり11時の方向が「南」を指していることになります。
逆に言えば、その反対側が「北」ということです。
ポイント:より正確に知るために
マッチ棒や細い枝を文字盤の中央に立てて、その影が短針と重なるようにすると、より正確に太陽の方向へ短針を向けることができます。
デジタル時計やスマホしかない場合
地面にアナログ時計の絵を描き、現在の時刻に合わせて短針を書き込めば、同じ原理で方角を割り出すことができますよ。
要は「今の時間における太陽の位置」と「正午(12時)」の関係性を利用しているわけですね。
季節や時間帯によるズレと注意点について

この「時計と太陽」を使った方法は手軽で便利ですが、あくまで「おおよその方角」を知るための簡易的なものであることを理解しておく必要があります。
実は、日本国内であっても季節や地域によって太陽の南中時刻(太陽が真南に来る時間)は正午からズレることがあるからです。
例えば、兵庫県の明石市を通る日本標準時子午線から離れた場所にいる場合や、サマータイムが導入されている国で使う場合などは、多少の誤差が生じます。
また、太陽が高い位置にある正午前後(11時から13時くらい)は、角度が分かりにくく誤差が出やすいため、朝や夕方の方が比較的方角を特定しやすいと言われています。
注意:過信は禁物です
この方法は数度〜十数度の誤差が出ることが一般的です。
遭難時などに「大体こっちが南だな」と当たりをつけるに留め、崖や危険な場所を歩く際の厳密なナビゲーションには使わないようにしましょう。
それでも、全く方角が分からない状態で闇雲に歩くよりは、はるかに安全性を高めてくれます。
「太陽は東から昇り、南を通って西に沈む」という自然の摂理を、時計というツールで可視化しているだけなので、理屈さえ分かっていれば応用が効くのが強みですね。
自然のサインや星空から正確な北を見つける

時計がない場合や、日が沈んでしまった夜間でも、自然界には方角を示してくれるヒントがたくさん隠されています。
ここでは、夜空の星を使った古典的な方法と、昼間に時間をかけて影を観察する方法、そして街中で使えるちょっとした豆知識について紹介していきます。
北極星と星座の位置関係で北を特定する
夜間に方角を知るなら、やはり「北極星(ポラリス)」を見つけるのが一番確実です。
北極星は地軸の延長線上にあるため、ほぼ動かずに常に「真北」の方角で輝いています。
では、どうやって数ある星の中から北極星を見つければ良いのでしょうか?
目印になるのは「北斗七星」と「カシオペヤ座」です。
まず、ひしゃく型をした北斗七星を探しましょう。
ひしゃくの先端にある2つの星を結び、その距離を約5倍ほど伸ばした先に、ぽつんと輝く2等星があります。
これが北極星です。
季節によっては北斗七星が沈んで見えないこともありますが、その時はアルファベットの「W」の形をしたカシオペヤ座を探します。
Wの両端の線を伸ばして交差させ、その交点とWの真ん中の星を結んで、さらに約5倍伸ばした先に北極星があります。
豆知識:北極星の高さ
北極星の地平線からの高さ(角度)は、その場所の「緯度」とほぼ同じになります。
例えば東京なら約35度の高さに見えるはずです。
慣れてしまえばすぐに見つけられますが、初めてだと意外と難しいかもしれません。
キャンプなどで夜空を見上げる機会があれば、練習として北極星を探してみるのも楽しいですよ。
「あの星が真北なんだ」と分かるだけで、自分の中の地図がカチッと定まるような感覚になれるはずです。
地面に棒を立てて影の動きから方位を知る

日中で、かつ時間に余裕があるなら、「影の移動」を利用して非常に正確に東西南北を知る方法があります。
これは太陽が東から西へ動く際、影は逆に西から東へ動くという原理を利用したものです。
- 平らな地面に真っ直ぐな棒(1メートルくらい)を立てます。
- 棒の影の「先端」の位置に小石などで印をつけます(これが西側の点になります)。
- そのまま15分〜30分ほど待ちます。
- 影が動いたら、新しい影の「先端」にまた印をつけます(これが東側の点になります)。
- 最初に置いた印と、2番目に置いた印を直線で結びます。
この結んだ線が、おおよその「東西」のラインになります。
最初に印をつけた方が「西」、後からつけた方が「東」です。
そして、この東西のラインに対して直角に交わる線が「南北」になります。
北半球であれば、太陽は南側にあるので、影は北側に伸びているはずです。
この方法は少し時間がかかりますが、時計が壊れていても実践できるのが最大のメリットです。
お昼休憩のついでに実験してみるのも良いですね。
コンパスやスマホが使えない状況で役立つ身近な目印

最後に、自然の中だけでなく、街中や住宅街で役立つヒントも少し紹介しておきます。
例えば、日本の住宅に取り付けられている「BS/CSアンテナ(パラボラアンテナ)」は、実はすべて同じ方向を向いていることをご存知でしょうか?
日本の放送衛星は南西の方角(午後2時の太陽の方向あたり)にある静止衛星を利用しているため、受信アンテナは必ず「南西」を向くように設置されています。
住宅街で道に迷ったとき、多くの家のアンテナが同じ方向を向いていれば、そちらがおおよそ南西だと判断できるわけです。
まとめ:複数の手段を知っておくことの強み
一つの方法に頼り切るのではなく、「時計」で確認しつつ「影」でも裏付けを取る、といった合わせ技を使うことで、より確実な方角を知ることができます。
もちろん、これらはあくまで緊急時の代用テクニックです。
本格的な登山などでは必ずコンパスと地図を携行するのが基本ですが、日常のふとした瞬間に「コンパスないときでも何とかなる」という自信を持っていることは、大きな安心材料になるはずです。
ぜひ次の晴れた日に、実際に時計を太陽に向けて試してみてくださいね。

