下肢静脈瘤とエコノミークラス症候群には深い関係があります。
下肢静脈瘤は今すぐに何とかしないと命に関わるというわけではありません。
エコノミークラス症候群は、乗り物に乗らなくてもなるもので、下肢静脈瘤の方は注意が必要な症状でもあります。
そこで、下肢静脈瘤とエコノミークラス症候群の関係について紹介します。
下肢静脈瘤でエコノミークラス症候群
下肢静脈瘤が原因となってエコノミークラス症候群になることがあります。
下肢静脈瘤は足の血管がボコボコと目立ってしまうものですが、今すぐに何とかしないと命に関わるという病気ではありません。
そのため、見た目さえ気にしなければ、下肢静脈瘤が出ていても、放置してしまう方も多いのが実情です。
しかし、下肢静脈瘤の原因が足首の内側、ふくらはぎ、太ももの内側へと血液を流している血管である大伏在静脈(だいふくざいじょうみゃく)に大きな血栓ができている場合には、エコノミークラス症候群を起こす可能性があるので、注意が必要です。
エコノミークラス症候群は、最悪の場合、死亡することもある危険な病気です。
下肢静脈瘤が原因でエコノミークラス症候群
エコノミークラス症候群は、長時間同じ姿勢でいることで脚の静脈の血行が悪くなり、脚に血栓(血の塊)ができてしまい、血栓が肺の動脈に詰まり、呼吸困難や全身の血液循環に支障をきたす病気です。
6時間以上同じ体勢で座っていると発症するリスクが出てくると言われていますが、飛行機の座席がやや狭いエコノミークラスに乗った人だけに発生する病気ではありません。
飛行機に乗らなくてもエコノミークラス症候群になることもあります。
その原因のひとつに下肢静脈瘤が関係しているのです。
下肢静脈瘤とエコノミークラス症候群の関係
下肢静脈瘤がエコノミークラス症候群を引き起こしてしまうのは、大伏在静脈に大きな血栓ができている場合です。
大伏在静脈という血管は、足首の内側、ふくらはぎ、太ももの内側へと血液を流している血管で、足の付け根で大腿静脈に合流しています。
下肢静脈瘤による血栓は、血管の壁から離れて、血液の流れに乗ってしまうと、最終的には肺に行きます。
肺にたどり着いた血栓が、肺動脈に詰まると、エコノミークラス症候群を引き起こしてしまうのです。
下肢静脈瘤の術後にエコノミー症候群
下肢静脈瘤の術後にエコノミー症候群になるリスクもあるので注意が必要です。
大伏在静脈の血管内をレーザー治療する際、静脈内には血栓ができます。
通常、この血栓は、増大することはなく、静脈と一緒に消失することがほとんどなのですが、大腿静脈の中で血栓が増大することもあるので気をつけなければいけません。
増大を予防するには、弾性ストッキングの着用をすることです。
これで血栓があったとてしても大腿静脈へ流れづらくなります。
また、下肢静脈瘤の手術でなくても、例えば、股関節の術後でも同じように予防を行わないとエコノミークラス症候群になる場合があります。