消費税が平成29年4月1日に8%から10%への引上げが決定しました。
今回は軽減税率の導入についてどうするかでもめている昨今ですが、消費税については結構知らないことが多いです。
そこで今回は、消費税の簡易課税、予定納税について紹介します。
また、商品券の場合、消費税はどうなるのかについても紹介します。
消費税の簡易課税とは?
消費税の中には、小規模事業者だけに認められているものがあり、そのひとつが簡易課税です。
簡易課税とは、個人事業者や小さな会社の経理事務の負担をできるだけ軽くするために設けられた制度のことです。
消費税は企業が売り上げをあげた時、預かった消費税から商品サービスの提供を受けたときに負担した税を差し引くのが、本来の消費税の役割です。
そのため、経理上は、すべての取引に関して、消費税がいくらになるのかをしっかり把握しておく必要があります。
そうしておかないと消費税の計算はできないことになります。
しかし、小規模事業者に全ての取引を把握するのは大変なので、簡易課税というものがあるのです。
つまり、簡便な計算方式を消費税の中で採用しているというのが、簡易課税制度になります。
消費税の簡易課税は特例です。
なのでこの方法が選択できるのは、2期前の課税売上高が5000万円以下の事業者に限られています。
ただ、この場合、2期前が存在しない設立したばかりの会社については、消費税の簡易課税は選択可能となります。
勘違いしやすいのですが、消費税の簡易課税は免除の特例とは違うということで、資本金が1000万円以上の会社でも適用が認められています。
そのため、会社を設立したばかりの会社でも、設立1期目と2期目に関しては、消費税の簡易課税の選択ができます。
もっとも、消費税の簡易課税の計算を用いれば、必ず納税額が少なくなるということではありませんので注意が必要です。
消費税の簡易課税は、製造業で売り上げの70%を超えているような会社で、消費税の簡易課税を選択すると、逆に損することになります。
また、大きな設備投資をした際などに、消費税の簡易課税を選択すると、結果的に損をする形となります。
一つの会社で何種類もの事業をしている場合も、消費税の簡易課税は不向きで、選択すると計算が非常に複雑になります。
消費税の予定納税とは?
消費税には、予定納税という言葉がよく聞かれます。
これは、前年度の税金が一定している場合に適用されるものです。
基本的に消費税の予定納税での仮決算による中間申告をした方が、資金繰りは良くなるという傾向にあります。
消費税の予定納税については、納税額は変わってくることが多く、個人事業主の対応によってかわります。
前年の確定税額が60万円の場合、年1回の消費税の予定納税は、仮決算による中間申告が必要になります。
この場合、消費税の予定納税は、計算方式により、37万5千円になり、仮決算での中間申告は、1月から6月末での実績計算になります。
そして、消費税の予定納税の計算で、1月から6月の実績が前年より成績が良くない場合は、予定納税額が実績額を上回ることになります。
そうなると消費税の納税を後に回せることになって、結果的に資金繰りが楽になるというわけです。
消費税の予定納税は、申告書を提出する必要はありません。申告書の提出期限の時点で、予定納税があったとみなされるからです。
商品券の消費税はどうなっているの?
商品券は取引の性格上、消費税の課税対象とならないのですが、商品券を使って商品を購入した場合は、お金で商品を買ったのと同じなので課税取引になります。
消費税と商品券の関係はややこしく、卸から小売商店に商品券を売り渡す場合には、非課税取引になります。
小売店で消費者に商品券を売り渡す場合は非課税取引になりますが、消費者が自分の持っている商品券で商品を買った場合は、課税取引の消費税になります。
こうした仕組みがあるので、商品券の取り扱いについては、消費税に関しては、やや複雑と言えます。
商品券で人気のビール券ですが、発行者が酒類の卸会社に商品券を発行する際は、不課税取引の消費税になります。
また、小売店が消費者から回収したビール券を卸会社に渡して現金に交換した時は、不課税取引の消費税になります。
さらに、卸会社がビール券の発行者に回収したビール券を渡し、現金に交換した時は、不課税取引の消費税になります。